入居者からの家賃の減額請求

古い民法では「賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人はその滅失した部分の割合に応じて家賃の減額を請求できる」とされていました。しかし、2020年の民法改正により、減額の対象は「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用および収益することができなくなった場合」と変更されました。つまり、従来の「滅失」に加え「使用できなくなった場合」も対象となったのです。言い換えますと、入居者の責任でなく設備が故障し、一部使用できなくなった場合、その分の家賃が減額されることを民法で明言したわけです。


減額の目安とされている「賃料減額ガイドライン」

そこで問題になるのは、「どのような不具合が対象となるのか」「いくら減額しなければならないのか」ということです。法律上の決まりはありませんが、賃貸の現場では、公益社団法人日本賃貸住宅管理協会が作成・公表している「貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」を活用しているケースが多いようです。このガイドラインには代表的な故障個所ごとに「減額の割合」と「免責日数」の目安が掲載されています。免責日数とは減額の対象とならない日数のことです。修理業者の手配や部品の取り寄せにはある程度の日数がかかることから設けられています。


使用できない期間から「免責期間」を除外して算出

仮に給湯器の故障で10日間、浴室が使えなくなった場合、ガイドラインによると「風呂が使えない」場合の減額割合は10%、免責期間は3日間です。月額家賃が6万円の場合、日割家賃は2,000円(6万÷30日)ですので、減額分は1日につき200円(2,000円×10%)です。給湯器の交換に要した日数は10日間ですが、そのうち免責期間3日間を除外しますので、対象となるのは7日間です。したがって、家賃減額の目安は1,400円(200円×7日)となります。なお、ガイドラインは民間団体のものではありますが、専門家により作成されているため、裁判でも一定の目安を示すものとして取り扱われると考えます。




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